浜岡原子力発電所視察


H27年7月27日に視察した浜岡原子力発電所の復命書を以下のように提出しました。
 


浜岡原発視察
                            市民クラブ 鈴木唯記子
【目的】
 浜岡原子力発電所の現状と取組について知り今後の活動の参考にするため。

【現状と中部電力の取組み】
浜岡原子力発電所は、敷地面積1.6K㎡(約50万坪 東京ドーム34個分)、中部電力従業員数844人、協力会社従業員数3070人(平成27年7月1日現在)
南海トラフ巨大地震に備えるとして追加対策を実施している。耐震設計上重要な施設などを対象に、敷地内の地震観測結果を踏まえ、顕著な増幅が見られない観測点周辺施設は1200ガル、顕著な増幅が見られた観測点周辺施設は2000ガルを用いて工事の必要性を検討し結果を踏まえ工事を実施。
  *ガル→原子力発電所の耐震対策の評価に使う加速度の単位
  *マグニチュード→地震の持つエネルギーの大きさ
  *震度→観測地点における地震による揺れの大きさ
①3・4号機配管・電炉類サポート改造工事
②3・4号機北側 敷地内斜面補強工事
③4号機取水槽地盤改良工事
④4号機取水槽北側 敷地内斜面補強工事
⑤防波壁地盤改良工事                                            
そして新規性基準への対応として、30項目の対策をすすめている。
中でも、重要とされている項目、一点目は、冷やす機能を確保し重大事故に備えるとして、海抜40mの高台にガスタービン発電機6台を設置。燃料タンクも高台に設置し、最低でも7日分の燃料を確保することができる。
二点目では、重大事故の発生に備え、気体を外部へ放出することによって、格納容器内の圧力を下げて、格納容器の破損を防ぐ。フィルタ付きのベント設備を設置し、気体を外部へ放出する際には、放射性物質を吸着するフィルタを通して排気する。これによりセシウムなどの粒子状の放射性物質の放出量を1000分の1以下に抑えることで、大規模な土壌汚染などを防止する。
三点目として高さ海抜22m、総延長1.6Kmの防波壁。岩盤の中から立ち上げた鉄筋コンクリート造の基礎の上に鋼構造と鉄骨・鉄筋コンクリートの複合構造からなるL型の壁を結合させた、地震や津波に強い構造。津波を侵入させない。原発を稼働してなくても敷地内には9950本の使用済み核燃料があるわけで、行われている工事や対策は、それらを守るために必要である。
これら福島第一原子力発電所の事故などから得られた知見を踏まえ、更なる安全性向上対策に取り組んでいる。

【所感】
 あらゆる角度からの災害に備えて対策をしているのは施設・実際の工事内容を見て、わかったし、熱意は十分感じられたがこれで大丈夫、安全だということは考えられなかった。私個人的には、原子力発電は自然淘汰、新エネルギーへの切り替えをしていく。浜岡原発再稼働については視察前も後も変わらず反対である。その理由としては、使用済み核燃料の処理が安全基準に達していないこと、放射性廃棄物が無害化するのに10万年かかると言われている。2015年現在でも日本には1万7千トンの使用済み核燃料がたまっているといわれ、放射性廃棄物の最終処分制度を創設して以来、10年以上経った現在でも処分地選定調査に着手できていないとされている。
立地的にも浜岡原発は2つの活断層の上に建っているといわれており、他の原発と異なり配置も断層を避けてバラバラになっているためタービン建屋より海側に原子炉建屋があるため配管損傷などの恐れが強く特に危険だといわれている所も不安であり再稼働は反対だと考えている要因だ。
とはいえ、「日本は世界第5位のエネルギー消費国でありながら、原子力を含まないエネルギー自給率はたった5%。これは先進国の中でも極めて低く、エネルギー資源のほとんどを海外からの輸入に頼っている状況。
東日本大震災前に比べ、火力発電に使う年間の燃料費は、約4兆円程度増加し従来からの約4兆円に加え、約2倍。これは主に燃料消費量の増加によるもの。4人家族の家庭の電気料金に例えると、年間約10万円を追加的に資源国へ支払っていることになる。
また、東日本大震災以降、火力発電でつくる電気が全体の約9割になっていることから、エネルギーをつくるためのCO2排出量は約1億トン増加している。」*関西電力HPより引用。
こういった状況をみると、ただ原発再稼働を反対ばかりもしていられない。今後の新エネルギー政策を含めた、現実的な原発代替案は必須であり同時に放射性廃棄物の最終処分をどうしていくのかということも進め、国民が納得する真の安全基準を満たす対策がされなければいけないと考える。


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