インドネシア視察

2016年1月26日からインドネシアへ会派で視察してまいりました。

.渡航目的
本市と平成26年12月に経済交流に関する覚書を締結したインドネシア共和国における現地進出企業の事業展開の事情、本市の現地での支援活動状況調査、並びに浜松市内企業の現地法人を訪問し市場動向と生産活動の事情と課題を調査し、今後の本市の政策立案に役立てる。また、本市と文化・環境分野等の協力関係の構築を目的に平成 26 年 12 月に覚書を交わしているバンドン市を訪問・調査し、両市の発展に向けた政策立案に役立てる。

全行程、全文は市民クラブホームページで是非ご覧ください。


氏 名 鈴木 唯記子
担当日 1月 26 日(火)
JETRO ジャカルタ事務所
浜松市 ASEAN ビジネスサポートデスクジャカルタオフィス



【JETRO ジャカルタ事務所】
インドネシアは世界最大の島嶼国で 13,000 を超える大小の島々で構成され、東西 5,110㎞、北米を超える広さ。
そのため、課題として物流の非効率、末端消費者への消費デリバリーの課題、地域間格差(資源偏在=州毎の貧富の差大、東部の貧困地域)などがある。
インフラ不足が著しく、港湾まで片道約30㎞、本来2~3往復できるはずが、道路整備の遅延等による交通渋滞により、1日1往復しかできず、さらに港湾キャパシティ不足による貨物の滞留がある。JETRO ジャカルタ事務所では、インドネシアの経済、産業、企業動向、各種制度に関する情報収集・分析を行い情報提供している。
事業概要と支援・相談状況を聞いたが、想像以上に厳しいことが分かった。
まず、法運用の曖昧さ、法体系の不備ということで、頻繁に法改正されるため、気づかぬうちに不正に陥るリスクが高く、その都度混乱する。外国人就労規制に加えインドネシア日系企業の賃金ベースアップ率は「在アジア・オセアニア日系企業実態調査」対象国で最も高い。更に外資系企業への規制は多く、ネガティブリストによる規制、更には最低投資規制額100億ルピア(およそ1億円)も高い。外資系でも大規模投資、大企業はウェルカム、中小企業はいらないという印象を説明から感じた。
しかし、説明をいただいた山城さんは、「インドネシアについての課題点は多いが、魅力部分も多く、巨大市場と中期的な成長力、長期間続く人口ボーナス期(~2030年)・伸びる消費、厚みを増す中間層(2020年に約7割強)・男女平等の労働環境、そして世界最大の親日国ということがあげられる。日本語表記があるだけで安心・安全につながっており、特に日本食=健康食という認識が強い。
インドネシアは重荷がついている飛行機、すぐにスッとは上がらないが、ジワジワと時間をかけてゆっくりと上がっていくとイメージしてほしい。H28 年1月、自爆テロなどで実態と異なった印象を与えているのではと感じている。これからも正確な情報を出していきたい。」と仰っていた。


【ASEAN ビジネスサポートデスク】
アセアン地域等を対象とするビジネスサポートデスクを市内及び海外に設置、業務提携している株式会社フェアコンサルティングの佐藤篤さんからお話を伺った。
・ 現地調査への支援、現地における法人設立手続きへの支援等
・ ビジネスに関する情報収集及び提供、販売先・取引先候補企業のリストアップ支援など、レンタル工場、レンタルオフィスの紹介
・ 現地に進出している企業からの相談への対応
などが、委託されている主な仕事。静岡県からの進出日系企業数は 100 社を超え、浜松市からは6割以上を占める。
政府は法的不確実性・不透明性、施行細則の遅れ・不備、法令間の不整合・矛盾、突然かつ曖昧なルール変更、事後的な修正(場当たり的なルール変更)という運営、更に外資規制が企業に重くのしかかり、日系企業もかなりの苦戦を強いられている。例えば、ネガティブリストによる規制、100 億ルピア以上の投資、25億ルピア以上の資本投下という最低投資額規制や、外国人就労規制としては外国人1人に対しインドネシア人を3~4人雇うとした規制などがある。以前は10人雇うとした規制が突然決まり、わずか4か月で現在の3~4人の規制になった経緯もある。ASEAN ビジネスサポートデスクは、めまぐるしく変わる法律に、困惑している海外における浜松出身企業の駆け込み寺的な存在となっている。
海外事業支援制度の一つに「アセアン地域レンタルオフィス賃料補助金」として、現地進出準備のために、レンタルオフィスを賃借する中小企業に対して賃料の一部補助がある。
しかし、インドネシアにおいては、今までの利用は0件、理由は中小企業の場合レンタルオフィスは利用しないことがあり、補助があっても使えないとのことだった。


【所感】
現地についてまず驚いたことは、交通渋滞だった。ジャカルタ中心部の主要道路での渋滞はひどく信号機や交差点が少ないため、しばらく進んでUターンをし、そこから初めて目的地に向かう。時間帯により30分~2 時間の差が出るそうだ。私は当初、これから進出を考えている企業のサポート体制の強化をメインで視察をしたいと考えていたが、現場を視察して、現在、進出している企業が苦戦していることが分かり、まず、そこをサポートしていくことが今後の進出支援に繋がっていくと感じた。
今までも、これからも進出していく中で大切なのは、オンリーワンの技術力をはじめとする並々ならぬ企業努力。たくさんの輸送機器メーカーが進出する中で、そして、めまぐるしく変わっていく情勢で、これがないと生き残ってはいけないということが現地に行くことでよく分かった。
今後、新たな分野の進出の可能性という所で、フルーツなどの農産物の品種改良は現地では皆無といっていいほど進んでいないことが分かった。何度か現地のフルーツを食べたが、美味しいと言える品質ではなかった。インドネシアでは、富裕層の購買力、中間層の増加もあり、安全・安心なものなら少し高価でも売れる傾向にあるということから、本市の農産品の販路拡大や品種改良技術を教えながら現地生産などの可能性は大いに期待できる。トレンドを見てこちらから仕掛ける、そして現在進出している企業については撤退せずこれからも長く続けていけるようなサポートが必要だと思う。金銭面の支援だけではなく現地に訪問しなければ分からないノウハウや情報を踏まえ、現地情勢に対応したサポートが必要だと思った。
浜松市アセアンビジネスサポートデスクは、現在9ヵ国13都市に開設されている。今回インドネシアの現状については分かったが、国ごとに異なる政治情勢について、情報収集は必須と考える。行政に対し、各国の情勢を把握し、それぞれの実情に合ったサポートや対応をしていくよう働きかけていきたい。


 
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